「アールドヴィーヴル」
第4回目は、現在会期中の話題の展覧会「レオ・レオニ絵本のしごと」展を紹介しました。
この展覧会は、会期直後から「大人も楽しめる絵本展」として連日大盛況!
レオニが絵本作家としてデビューしたのは49歳。
汽車の旅で孫が退屈しないようにと、即興で作ったお話「あおくんときいろちゃん」を
制作したのがきっかけでデビューしました。
それ以降、晩年まで40冊近く絵本を発表し、日本では30冊以上が翻訳されています。
レオニの絵本の中の主人公は、ネズミや魚、シャクトリ虫など小さな生き物ばかりです。
1度も人間が主人公の絵本を描いたことはないというレオニですが、
その背景には、人種や宗教の違いを超えて世界中の子供達に伝えたいメッセージがあったと
言われています。他と違うことの素晴らしさ、その違いを認めて、
皆で力を合わせるんだという思いがレオニの絵本の中に込められています。
「主人公がネズミなら、子供たちはたちまち想像の世界にとびこんできます」という
レオニの言葉からも「大切なことはシンプルに伝えたい」と考えていたことがわかります。
例えば、詩人のネズミが主人公の「フレデリック」という作品は、
冬に備えてネズミの仲間が食べ物をせっせと集めるのに対して、
フレデリックはじっと動きません。実は、寒くて灰色で長い冬のために、
フレデリックは食べ物ではなく、太陽の光や色、言葉を集めていたのです。
やがて冬が来て食べ物がなくなったときに、
集めておいた光や色で皆に幸せなひとときをフレデリックが与えます。
このお話は、社会の中での芸術家の役割を表していると言われています。
日本の小学校の教科書に載っていたことで有名な「スイミー」という作品は小魚が主人公。赤い兄弟の中で1匹だけ黒い魚のスイミーが、岩陰から出られない小魚たちと団結し、
勇気と知恵で大きな魚を追い払うというお話です。
1匹だけ黒く個性的で孤独なスイミーが集団の中で自分の役割を見いだしていく様子を
描いたこの作品は、人間社会にもあてはまるということで多くの注目を浴びました。
他にも、「じぶんだけのいろ」という作品は「自分の色は何色なのだろう。」と、
自分だけの色を探して悩み続けるカメレオンのお話。
小さな主人公たちが「自分らしく生きること」をテーマにした心温まるストーリーが
レオニの絵本の特徴と言われています。
そんな生きる喜びをテーマに多くの絵本を生み出した「レオ・レオニ絵本のしごと」展は、
現在、東京渋谷区、東急文化村ザ・ミュージアムで開催中です。
会期は、8月4日(日曜日)まで。
午前10時から午後7時、金曜土曜は夜9時までです。
一般1300円、高校大学生900円、小中学生600円となっております。
レオニの美しい色彩、原画の素晴らしさ、そこから伝わるメッセージ、
会場には最新のテクノロジーを駆使したアートな空間や絵本を読めるスペースもあります。
絵本の主人公たちの可愛いグッズもたくさん取り揃えているということです。
大人も楽しめる絵本展、ぜひ、親子で足を運んでみてはいかがでしょうか。
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大人も楽しめる絵本展「レオ・レオニ絵本のしごと」展
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